設立趣意書

趣旨

 スポーツは健康で豊な人生を創造する最も有効な手段の一つです。過去20年で日本のスポーツ人口は急速に増加し、今日では国民の約3分の2の人が、1年間に何らかの運動・スポーツを行っています。かつては、スポーツは若くて元気な年代の人々がするものでしたが、今では老若男女を問わずあらゆる人々が、それぞれのレベルに応じて楽しむものとなりました。

 スポーツは「健康」な身体を維持増進するだけでなく、現代社会のもつ矛盾を解消する機能を持っています。スポーツは新しい仲間との出会いをつくるとともに、目的を共有し、努力することで新しい感動をつくります。出会いと感動が子供たちの心を育て、あらゆる人々の豊かな人生を創造するのです。

 しかし、一方でスポーツには多くの危険が伴います。指導者の問題や環境の未整備、そして知識の不足などによる傷害が前途有望な小さな大選手の芽を刈り取ってしまい、かえって健康を損なうといったことが増加しています。それぞれの状況に応じた助言や指導が求められているのです。

 阪神淡路大震災という未曾有の大災害にあった神戸は、「神戸アスリートタウン構想」というプロジェクトを推進しています。震災の経験から「主体的に生きる・健康に生きる生活環境のある都市」というテーマが大きく浮かび上がってきたためです。大震災の苦しみなかで私たちは『命の大切さ』『健康の重要性』と『人のこころの温もり』を実感しました。ヴィッセル神戸のJ1昇格やオリックス・ブルーウェーブの優勝などスポーツが与えてくれるこころや身体への影響を実感しました。不断に健康つくりができ、ともに汗を流す人々が集える都市、そんな都市をつくることが「復興」のテーマの一つになると思ったのです。

 神戸アスリートタウンのテーマは「スポーツの楽しさを発見でき、身体を動かすことで健康づくりが出来る。そんな町づくりです。」子どもから高齢者、障害を持つ人々、あらゆる人々が健康で豊な生涯をおくれるまち・神戸を創っていこうと思っています。
私たちは、そのようなまちづくりを市民レベルで推進し、一日でも早く、一人でも多くの人達が健康に暮らせるまちを実現出来るよう、総力をあげて取り組んで行きます。そのためには、永続的に活動できる組織基盤が必要です。特定非営利活動法人「神戸アスリートタウンクラブ」はその中核的組織として設立致します。

申請に至るまでの経緯

 1995年1月、世界でも類を見ない都市直下型大震災が神戸を襲い、多くの死傷者を出しただけでなく、経済的にも大打撃を受けました。神戸市はいち早く復興の柱に「健康・スポーツ」をテーマにしたまちづくりを考え、1996年神戸アスリートタウン構想研究会を発足させ、12月に具体的な提言が発表されました。そして、1997年にはそれを基に構想推進委員会が発足、1999年3月に構想基本計画が発表されました。

 この構想の早期からかかわってきた市民は、1998年4月、この構想を市民レベルで推進するグループとして、神戸アスリートタウンクラブを任意団体として設立致しました。その後2年間の活動を通して運営組織の見直しを図り、今般特定非営利活動法人として設立申請することになりました。

 どうか多くの方々に、私たちの趣旨にご賛同いただき、一緒に「健康で楽しいまち-こうべ」を実現してゆきましょう。

2000年12月16日

特定非営利活動法人神戸アスリートタウンクラブ
設立代表者 加藤寛

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